夏山

会社に初めて入社した20代の頃
夏休みといえば山をめざした
当時は夜行バスやビジネスホテルというような
便利なものは無く
交通手段は国鉄の夜行の急行列車のみ
リクライニングの全くきかない固い座席で眠るか
通路に新聞紙を敷いて眠るか
どちらにせよ眠れたものではない
それでも大阪から京都、名古屋を過ぎて
中央線の松本に着く頃には
あこがれの山に対峙できるという
高揚感でいっぱいになった
剣岳、立山、槍ヶ岳、北穂高、奥穂高
白馬岳、唐松岳、五竜岳、尾瀬至仏山など
ニッカーズボンにチェックの登山シャツ
キャラバンシューズに大きなザック
若い頃にどうしてわざわざ
山などという危険、しんどい、スマートではない
ことをしたかったのかよくわからないが
今になってみれば山に行った記憶や経験は
何事にも代えがたいものになったと思う
動かざること山の如し
私の心は動じてばかりであるが
落ち着いて物事を考えられる人間になりたいと
常々思っている

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